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読んだ本 答えは必ずある 人見光夫/著 2015年 [読書]


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こういう人を突破者というのでしょうか。


SKYACTIV-Xに興味を持ち少し調べました、ユニークですがそれ故難易度の高そうなシステムです。それをものにしてしまうのはどんな人、どのような組織なのかと強い興味がわきました。


己の理想に向かって、強固な意志と常識にとらわれない大胆な発想、精緻堅牢な論理と強力な人望・実行力で、壁を一つづつ突破してゆきます。


著者はマツダという、自動車会社としては小さな会社と著者自身が評する組織で、入社以来一貫してガソリンエンジンの先行開発に従事。最高レベルの圧縮比を誇るガソリンエンジン、2011年に市場にリリースした、SKYACTIV‐Gでハイブリットと同等の燃費を実現、業界マスコミより一目置かれる存在となる。


ボウリングのヘッドピンにうまく当てると全てのピンが倒れる。ヘッドピンにうまく当てることと同等の、技術的主要共通課題を探し出し(著者の言葉を借りると:しかし当然だが、現実の課題はボウリングのように誰が見てもわかるような位置にヘッドピンが置かれてはいない。一見、バラバラに置かれているピンが整然と並んでいるように見える位置を定めなければいけない。)、そこに資源を集中して研究開発を行う。一つのソリューションで多数のピンを倒さなければ、小さな会社は生き残れない。


空間が小さいほど同じ燃料での爆発の圧力は大きいので、高圧縮比化が高効率化には効果的。そこで1番ピンを高圧縮比化に設定。ノッキングを低減させるため、吸排気工程の気筒間でのオーバーラップによる高温燃焼ガスの逆流を、排気経路の伸長・形状の工夫により、低回転域のみに押しとどめることに成功。排気経路の伸長に伴う排気温度の低下がもたらす触媒の活性化遅延対策として、ピストン上面のへこみと燃料噴射を最適化することで、排気の高温化の為に点火時期を遅らせても安定した燃焼が得られるように改善。またそのへこみにより、燃焼初期の火炎の成長阻害を解消、更に、初期の火炎がピストンに接触することで生じる、冷却損失も改善。


少人数で課題を実現する為CAE(Computer Aided Enginering :計算解析)により、実機を製作し試すというプロセスを、計算機上で代替え可能な精度を実現させる仕組みを作りだすことに取り組む。


少ないリソースで、賢く選びだした1番ピンをうまく倒すことに集中して、一挙に多数のピンをなぎ倒し競合を引き離す。


大企業が重量級の開発体制で実現したハイブリッドと、同等の燃料効率をシンプルかつ廉価な仕組みで、走る楽しみを犠牲にせず実現。


内燃機関に関する深い洞察と理解が、手持ちのリソースで実現可能な1番ピンの設定を、可能たらしめたのだと思います。


そして技術開発分野での広く深い理解が、ソリューションの手段としてCAEへの集中投資を選ばせたのでしょう。


ハイブリッド・電気自動車というトレンドには、 「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)を総合してCO2削減を見なければならないとしている。電池の開発状況、発電送電に関わる状況、低開発国の事情も含め、内燃機関の効率化の方が合理的な課題解決手段であるとの判断。またダウンサイジングターボならいつでもできるとして自然吸気に集中。


ハイブリッドの富裕層における実際の使われから、エンジン+モーターの強力なトルクで加速を楽しむ為の贅沢なシステムとし。広い回転域で扱いやすいエンジンが出来れば、マイルドハイブリッドで同等以上の燃料効率を実現できるはずだと、マツダは考えているようです。


2012年にリリースの、ディーゼルエンジンSKYACTIV-Dも、Gと同じ圧縮比14でこちらは、世界一の低圧縮比化を1番ピンに設定。Noxやすすを低圧縮比で抑え、ピストンが一番高いところで燃やせば高膨張比で効率を高くできる。更に燃焼圧力が下がることからブロックのアルミ化や肉厚低減で軽量化・機械抵抗減を実現。気温の低いときの始動性をグロープラグと多段燃料噴射で解決、エンジンが温まるまでの燃焼安定性を、排気弁の二度開けで高温の排ガスを燃焼室に戻すことによりクリア。


現在20%程度の効率しかないところを熱効率50%以上も夢ではなくなるそうです、期待してよいのでしょうか?



読み進むと熱くなってわくわくして、元気がもらえる本でした。


技術屋としてかっこよすぎると思うのですが、文末がまた行けてます。とんでもない。慢心などまったくしていない。というよりも、できる状態ではない。ロードマップに沿って、まだまだ挑戦の連続なのだ。しかしこの挑戦は、決して夢物語ではない。どうか期待してほしい。


以下目次抜粋


序章 答えは必ずある
エンジンの究極の姿を描き、そこに近づいていく。たった30人で何ができるか、マツダ流「選択と集中」。「答えは必ずある」と信じる人に、答えは見つかる。


1章 マツダ存続の危機
既存エンジンの部品を一切踏襲しない開発へ。ハイブリッド車全盛の時代にマツダは腹をくくった賭けに出た。まずは究極の内燃機関を作るハイブリッド化はその後でいい。燃費がよいだけの車でいいなら、マツダである必要がない。


2章 「できない」とは言わない
技術者としての虚しさを払拭するチャンスが訪れた。貧弱な部隊を奮い立たせるためにメンバーに送ったメッセージ。優秀さを前向きに使う人、後ろ向きに使う人。先行開発部門が「技術プロセス革新の先導役を果たす」と宣言。


3章 強烈な反骨心でソリューションを探る
組織の課題対策のヘッドピンを探る。CAEを駆使した開発体制の強化で不足を補う。計算解析能力を上げて対応しなければ、生き残っていけない。大きな転機となった新しい本部長の登場。


4章 俯瞰し、問題点を見抜く力
思い切って「その先」を見にいく勇気が必要だ。全体像がわかれば、進むべき方向性も自分のポジションも見えてくる。やってみる前に諦めるほど愚かなことはない!いつだって課題をシンプルに見つめ続ける。どの機能がノイズに弱いのかを分析し、整理せよ。


5章 答えはいつだってシンプルである
常識が邪魔をすると、山の上の景色が見られない。「私の専門には、これだけの広がりがある」と自分のカタログに書こう。いかに共通課題を見つけるか、そしてシンプルな答えを出すか。ロードマップを示して、メンバーに道を教えるのがリーダーの役目。


6章 常に全体最適を考える
もう少し他の部門の仕事も理解して、協力できないだろうか?全体最適に対する貢献意識が高い組織は仕事量も減る。後追いの対症療法ではなく、根本的治療法は何かを考える。SKYACTIVは根本的治療を施したマツダの答えだった。あらゆるシーンなど想定できるはずがない、だから共通の課題を探す。負けず嫌いならば、他人にとやかく言わずに自分を磨け。商品開発と先行開発のバランスを逆転させれば強い組織になる。ヘッドピンがわかったら、自分たちが制御できる因子を見極める。


比熱比を理解するために検索したところ、”混合気の圧縮自着火を専門にしてきた”という名工大名誉教授の太田安彦氏の記事に行き当たりました。大学の講義で使用していたものを加筆してご自身の記録用においてあるそうです。わかる人には興味深い内容だと思います、私には高度にすぎます。


こちらがトップページですhttp://www.geocities.jp/bequemereise/
また、SKYACTIV-Gエンジンとは何かというページで、解説を書いておられます、厳格で是々非々の気持ちの良い評価です、竹を割ったような文章と思いました。

名誉教授の評価を読んで、記事を書くことをいったん思いとどまったのですが、技術屋の心意気が多くの人の励ましになったらと・・・。


地元の方ですので、書店でお見かけしたことがあるように思います。
SKYACTIV-Xは、どのように観ておられるのでしょう?


追記 当ブログのこちらのページで太田先生の記事を解読してみました。


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答えは必ずある 人見光夫 ダイヤモンド社 2015年初版



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